夢物語の終止符|物語から現実へ

香運ライフ

ずっと、想像していた。

いつか、どこかで、

「あなたのような人を待っていました」

そう言われる日が来る。

そして、

「ぜひ、ここで働いてください」

と大歓迎される。

そんな場所が、
この世界のどこかにあると思っていた。


だから、仕事がうまくいかなくても、
人間関係がしんどくても、
自分に合わない場所を離れることになっても、

「まだ、私の居場所に出会っていないだけ」

そう思ってきた。

どこかにきっと、
私を必要としてくれる場所がある。

私のような人を、
待ってくれている場所がある。

そう信じて、探し続けた。


けれど――

待てど暮らせど、
そんな場所は現れなかった。

仕事を変えても、
場所を変えても、

「ここだった」

と思える場所には出会えなかった。

そして、48歳になった。

50歳が、もう遠い未来ではない。


貯金はない。

安定した仕事もない。

ひとり親として、
まだ高校生の娘を育てている。

これからの年金も不安だ。

子どもが巣立ったあと、
私はひとりでどうやって暮らしていくのだろう。

そんな現実を前にして、
ようやく気づいた。


私はずっと、

「いつか誰かが、私を見つけてくれる」

ことを待っていたのかもしれない。

「あなたのような人を待っていた」

と言ってくれる誰かを。

私を必要としてくれる場所を。

私が安心していられる居場所を。


でも、たぶん。

そんな場所は、
外の世界のどこかに用意されているものではない。

少なくとも、
これまでの私は見つけられなかった。

だから、もう待つのをやめようと思う。


48歳。

ここまで描き続けてきた夢物語の終止符は、
誰かに打ってもらうものではない。

自分で打つしかない。

「いつか、私を必要としてくれる場所が現れる」

そんな夢を、
ここで終わらせる。


でも――

夢を捨てるわけではない。

むしろ、
ここからが本当の始まりなのかもしれない。

誰かが用意してくれた場所を探すのではなく、

自分で場所をつくる。

自分で仕事をつくる。

自分と同じように、

「どこに行っても、なんとなく自分の居場所がない」

と感じている人が、

ここなら少し息ができる。

ここなら、ひとりでいてもいい。

ここなら、自分に戻れる。

そう思えるような場所を。


もし、そんな場所がどこにもないのなら、

私がつくればいい。

「あなたのような人を待っていた」

と言ってくれる場所を探すのではなく、

「あなたのような人が、ここにいていい」

と思える場所を、自分の手でつくる。


48歳。

夢物語の終わり。

そして、

自分の人生を、自分でつくり始める日。


アイキャッチ画像は、

  • 山田松香木店・香炭団(こうたどん)
  • リスン・インセンス・パイル