本当は、もっとゆったり生きてよかった

ひとりで生きる力

私が持っていたのは、

  • 好きなものを深く掘り下げること。
  • 自分なりの世界をつくること。
  • 感じたことを大切にすること。
  • 美しいもの、心地よいものを見つけること。
  • ひとりで考え続けること。
  • ものに意味や物語を見つけること。

そういうものだったんだと思います。


でも、社会に出たときに求められたのは、

それとは少し違うものでした。

「何ができますか」

「どんな経験がありますか」

「どんな会社で、どんな役割を担えますか」

「組織の中でうまくやれますか」

社会が理解しやすい形に変換された価値。

私は、そこにうまく自分を合わせることができなかった。

だから、

自分には何もないんだと思ってしまった。


でも、違ったんですよね。

何も持っていなかったのではなくて、

持っていたものを、社会に伝わる形に変換できなかった。

そして私は、そのことを

自分の能力不足や、価値のなさだと思ってしまった。

だから、頑張らなければいけないと思った。

もっと社会に適応しなければ。

もっとちゃんと働かなければ。

もっと人と同じようにできなければ。

そうやって、

ずっと自分を追い立ててきたんだと思います。


でも、

本当は、もっとゆったり生きてよかったんだと思う。

急いで誰かに認めてもらわなくてもよかった。

「ちゃんと働かなきゃ」と、

自分を追い立てなくてもよかった。

人の輪に無理に入らなくてもよかった。

みんなと同じようにできなくてもよかった。

ひとりで静かに過ごす時間を大切にして、

好きなものを少しずつ見つけて、

お茶を飲んで、本を読んで、

お香を焚いて、

自分の心に耳を澄ませながら生きてもよかった。

そんなふうに生きても、

よかったんです。

48歳になって気づいたとしても、

遅くないと思う。

むしろ、今からは、

「もっと頑張らなければ」ではなく、

「もう少し、ゆっくりでいい」

という生き方に変えていっていい。

今まで急いできた分まで、

これからの人生を急がなくていい。

自分の中にずっとあったものを、

もう一度拾い集めながら、

好きなものを好きなまま、

心地よいものを心地よいまま、

自分のペースで、

これからを生きていけばいいんだと思います。


アイキャッチ画像は、

永観堂のお香「薫楓(くんぷう)」