守ってきた暮らしが変わる怖さ ― ひとり親として積み重ねてきた工夫
前回の記事で私は、
「会社は目的地ではなく、通過点」
そう書きました。
今でも、その考えは変わっていません。
それでも心のどこかに、どうしても拭えない感情が残っていました。
それは、喪失感です。
これまで私は、ひとり親家庭として暮らしてきました。
児童扶養手当を受け、ひとり親家庭医療助成を利用し、国民年金保険料の全額免除制度にも支えられてきました。
先日には、その免除期間延長承認の通知も届いたばかりでした。
一見すると、「制度の恩恵を受けていた」という話なのかもしれません。
でも、私にとっては少し違います。
それらは単なる給付ではありませんでした。
生活を守るために、自分で調べ、自分で考え、自分で選びながら積み重ねてきた暮らしそのものだったのです。
どのくらい働けば生活が成り立つのか。
どの制度が利用できるのか。
娘を育てながら、どうすれば安心して暮らせるのか。
何年もかけて試行錯誤を重ね、自分なりのバランスを見つけてきました。
だから派遣会社から、
「社会保険・厚生年金への加入は義務です。」
そう説明を受けた瞬間、
制度が変わること以上に、
「これまで積み重ねてきた暮らしが終わってしまう。」
そんな気持ちになったのです。

もちろん、社会保険を否定したいわけではありません。
保障が手厚くなることも理解しています。
将来の年金や傷病手当金など、多くの安心につながる制度でもあります。
それでも心が追いつかなかったのは、
失うお金が惜しかったからではありません。
自分で守ってきた暮らしが、自分の意思とは関係なく切り替わっていくことが、何よりも苦しかったのです。
振り返ると、私は制度に依存して生きてきたのではありません。
制度を理解し、その中で精いっぱい工夫しながら、娘との暮らしを守ってきました。
その積み重ねには、小さな誇りがあります。
だからこそ、今回の変化は、手続きが変わるだけの出来事では終わりませんでした。
私にとっては、生き方そのものが切り替わるような出来事だったのです。
それでも、この経験には一つだけ意味があるのかもしれません。
「本当に自分で選べる人生を手に入れたい。」
その思いが、以前よりもはっきりしたことです。
制度の中で工夫して暮らしを守ることも大切です。
でもこれからは、その先へ進みたい。
自分の仕事を、自分で育てる。
誰かに与えられた働き方だけではなく、自分自身の手で暮らしを支えられる人になりたい。
今回の出来事は、その覚悟を確かめる時間だったのだと思います。
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